
アトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎に悩んでいるワンちゃん、多いですねー。
すべての犬の約20~30%がなにかしらのアレルギー性皮膚炎にかかっているそうです。
犬友の中にもたくさんいます。
うちの先住犬もそうでした。
なかには頭から足までほとんど脱毛し、皮膚がゴワゴワに硬くなって、もはやどんな犬種だかわからなくなってしまっているこもいます。5歳くらいまでは艶々した毛並みのかわいい柴犬だったのに―――。
アレルギー性皮膚炎の最大の症状はなんといっても強い痒みです。
痛いのも辛いですが、痒いのも本当につらいものです。
なんとかして治してあげたくてもアレルギー皮膚炎は手ごわいです。
発症するとほぼ長患いになるか、一生のお付き合いになってしまいます。
痒いのは辛そうだけど、ステロイド剤を飲ませ続けるのも不安ですよね。
2016年にアポキルという薬が出てからは、こちらに切り替えたご家庭も多いのではないでしょうか。
そして、アレルギー皮膚炎の治療薬として、さらに新しく登場したのが「サイトポイント」です。
サイトポイントとアポキルはどう違うのか、サイトポイントの方が効果的なのか―――。
調べてみました。
サイトポイントとは
サイトポイントは、2020年、犬のアトピー性皮膚炎用の新しい薬として登場しました。
まず、犬のアレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎の痒みの大きな原因となっているのは、「インターロイキン-31 (IL-31)」という物質です。
サイトポイントは、この「IL-31」の働きをピンポイントで抑えることで、痒みのサイクルを持続的に遮断します。
海外の研究では、サイトポイントを投与してから1週間で、約97%のアレルギー性皮膚炎の犬のかゆみが治まったと報告されています。
アポキルとサイトポイントの違いは
それではアポキルとサイトポイントの投与方法や制限などについてそれぞれ見てみましょう。
●アポキル
・作用:細胞の中で痒みが伝達されるのを阻害
・投与方法:1日に1~2回の服用
※体重1kgあたり0.4mgを1日2回、最長14日間経口投与する。
※さらに継続する場合には1日1回投与する。
・効果:即効性はあるものの、効果が持続しないこともある。
・併用の薬の制限:ステロイド剤など、ほかの薬との併用には注意が必要
・使用年齢:12カ月以上
・使用体重:3キロ以上の犬
・副作用:一時的な嘔吐や下痢、免疫抑制作用など
・値段:約16000円~35000円(動物病院や犬の体重によって異なる)
痒みを抑える効果が高く、ステロイドより副作用が少ないということで長く使用している人も多いようですが、免疫抑制作用があるため、長期の使用には注意が必要です。
●サイトポイント
・作用:細胞の外で痒みの原因となる物質の作用を阻害する。
・投与方法:1か月に1回、注射する(体重1kgあたり1mgを基準量として)
・効果:1~2日で効果が出始め、効果期間は約1カ月。
重度の皮膚炎の犬にサイトカインを投与したところ、3日~7日目には軽度になり、28日目にはほぼ正常になったという研究結果が報告されています。
・併用の薬の制限:特に制限がないため、ほかの疾患で薬を飲んでいても使いやすい。
・使用年齢:全年齢の犬にも使用可能
・使用体重:1.5キロ以上の犬
・副作用:特にないとされているがまだ新しい薬なので、情報不足ともいえる。
・値段:約11000円~16000円(動物病院や犬の体重によって異なる)
まとめ

今のところ特に副作用がないとされ、月に1度の注射で1カ月間も効果が持続するサイトカインは、アレルギー性皮膚炎で悩んでいるワンちゃんにとってはとても活気的なお薬のようですね。
気になるのはお値段で、注射1本で1万円超えは高い!と感じますが、中大型犬ではアポキルよりも費用が安くすみそうですし、毎日服用させる負担ないのもメリットです。
皮膚炎がとても強い場合や、皮膚の炎症や苔癬化(皮膚が硬くなり、厚くなる状態)が進んでいる場合などは効果が出にくいこともあるそうですが、アレルギー皮膚炎で苦しんでいるワンちゃんは、一度試してみる価値はあると思います。
そして、大切なのは、サイトカインなどのお薬は、あくまでもかゆみや症状を抑えるものだということ。サイトカインで痒みを抑えつつ、食事や住居環境など、アレルギー性皮膚炎を引き起こしている根本的な原因を取り除いてあげたいですね。