2年前、近所で保護され、里親が見つからないまま半年間ケージの中に入れられたままだった猫(ミカン)を半年間うちで一時預かりをして、結局、今はうちの子になっています。
なぜかと言えば、善意の保護とはいえ、その後のお世話の仕方に疑問を抱いたからです。
保護されてからケージの中に入れっぱなし
近所の方から、「猫を保護したけど、今預かってくれているお宅ではすでに数匹の猫がいて、その子たちと気が合わない。なので、ケージの中に入れて、その方のお店に置いている」という話を聞いて、気になって会いにいってみました。
聞いた通り、その猫(ミカン)はけケージの中にいて、つるされたハンモックの中で丸まっていました。
2段ケージの下にはトイレが入れられていて、ケージの中でくつろげる場所はハンモックしかありません。
捕獲されてから半年間、こんな感じで歩くことも、走ることも、体を伸ばすこともできない状態でいるのかと思うと、このままでは筋肉が落ちて運動できなくなるんじゃないだろうかと心配になりました。

一時預かりをすることになったものの

それからハンモックで丸まっているだけのミカンが気になって気になって……。
半年間の一時預かりを申し出ました。
保護主さんたちは個人で活動している方たちで、近所にいた野良猫を見て、善意で猫の保護をした方たちです。
里親探しの方法は、お店の前にチラシを貼る、知り合いの人に声をかける程度なので、半年で里親が見つかるだろうという私の予測は甘いものでした。
ミカンは幼い頃の猫風邪によって左目が失明し、右目も膜がかかっていてぼんやりしか見えません。
仔猫はすぐに里親さんが決まりますが、成猫で障害のあるミカンにとっては難しく、約束の半年を迎えても、新しい家族は決まりませんでした。
ケージの中でずっと面倒をみる?
ミカンを戻す前に、保護主さんたちに「私がこの子を戻したらどうなりますか?」と聞くと、「私たちが責任をもってご飯をあげて面倒をみるので大丈夫」ということでした。
「それって、里親さんが見つからなかったら一生、ケージの中に入れておくということでしょうか」
そうつっこむと「仕方ないです」と。
仕方がない?
野良猫を捕まえて去勢・避妊手術をしてあげるのは大事な保護活動だと思います。
でも、その後は自由に動けないケージに入れっぱなしでは、健康面でもストレス面でも問題があるのではないでしょうか。
部屋の中をウロウロしたり、おもちゃを追いかけたり、棚の上に飛び乗ったり、そんなことがまったくできずに、ご飯を食べてあとはじっとしているだけの生活なんて。
「野良でいるよりはケージの中にいた方が幸せ」「ケージの中にずっといても猫は大丈夫」という考えは、猫素人の私でも違うのではないかとズレを感じました。
その保護主さんたちが本当に猫が好きで可愛がっているのを知っていただけに、どうして身体能力の高い猫が、動けない状態でも大丈夫だと思えるのか、そのままハンモックの中で一生暮らさせることが幸せだと思えるのだろうか、本当に不思議でした。

なんだかんだ1年半が過ぎ

ミカンはうちに来てはじめのうちは、あまり動かず、高いところにも上がれませんでした。
本当に筋肉が弱っていたのかもしれません。
でも、そのうち部屋中を歩き回り、おもちゃを全力疾走で追いかけるようになり、いろんなところに飛び乗るようになりました。
ハンモックの中で大人しく丸まり覇気のなかったミカンは、ずいぶんとやんちゃな女の子になりました。
そんなミカンをまたケージの中に戻し、ずっと―――もしかしたらまた一生、ケージの中のハンモック生活に戻すことはできないと、ほかの猫の保護活動をしているAさんたちに相談しました。
そして、ミカンの所有権は最初の保護主さんたちにあるので、一旦、Aさんのところで譲渡をし、Aさんたちが里親探しに協力するが、見つかるまでの間はそのまま私のところでキィウィを預かるということになりました。
私がすぐにミカンを譲渡すればよかったのかもしれませんが、約19年間、一緒に過ごした愛犬が逝ってしまった後で別れのショックが大きく、また自分の状況も考えて、もう新たに動物と暮すことはしないと決めていたのです。
その後、Aさんたちのおかげで、ミカンの里親希望者が何人か現れました。
でも、目薬を差すのは面倒、猫の逃亡対策をするのが難しい、先住猫が気難しいなど、ミカンにあった家は見つからず、そうこうしているうちに1年半が過ぎました。


猫への善意も虐待になりかねない

私が願う条件を満たす家はなかなか見つからず、我が家に慣れてのびのび過ごしているミカンを見て、「このままうちで一緒に暮す方が、お互いに幸せかな」と思い、譲渡することに決めました。
今はミカンとの生活が楽しく幸せで、うちに迎えることができて本当によかったと思っています。
動物の保護は労力もお金もかかります。
保護活動をされている方には本当に頭が下がります。
私にはできないことなので、意見できる立場にはありません。
でも、捕獲した後、猫がストレスを感じるような環境での生活になるのであれば、それは猫にとって幸せにならず、「保護」にならないのではないかと、ミカンと出会った頃を思うたびに考えるのです。
最近、「ネコ学(クレア・ベサント)」という本を読み、「善意からの行動がうまくいかない場合」の章は、その通りだなと考えさせられました。
最後は次のような文で締めくくられています。
―――たとえ善意からでもきちんとした猫の世話ができなければ、故意ではなくても猫の虐待につながりかねない。
読んでいただき、有難うございました!