猫の可愛らしさに魅了されている人は世界中に溢れています。
猫の飼い主は猫を理解するために猫のトリセツ本を読んだり、猫が喜ぶおもちゃを与えたり、猫の健康について考えたり、もう頭の中は猫でいっぱいです。
街中で猫がケガをして倒れていたり、動けなくなったりしていたら、多くの人は何とかして助けようとするでしょう。
海外のペットニュースでも、排水溝に落ちたり、高い木から降りられなくなったりした猫を、救助隊が出動して無事に保護したなんていう話題もよくあがります。
で、そんなペットニュースを読んでいて驚いたのが、ニュージーランドで開催されている猫狩りコンテストです。
世界から非難された14歳未満限定の子ども部門
ニュージーランドのカンタベリーでは、在来種や家畜を守るという目的で害獣を殺す「ノースカンタベリー狩猟競技会」が行われています。
大会で狩猟数を競うのは、豚や鹿、うさぎ、フェレット、ポッサム、ネズミ、そして2023年には新たに猫が仲間入り。
普段から日常的に殺して駆除していた猫も、種目に追加したわけですね。
それだけではなく、この猫狩り部門では14歳未満限定の子ども部門が設けられ、一番たくさんの猫を殺した子供には賞金250NZドル(約2万円)が送られることになっていました。
わざわざ小さい子どもたちに猫狩りをすすめる意図は、なんなのでしょう。
子どもも狩りを楽しめるように、ということでしょうか。
この子ども部門は多くの国から批判を受けて中止になりましたが、大会自体は今年(2024年)も盛大に行われ、子どもを含む1500人が参加したそうです。
目的は同じといえども
どの生物を害のあるものと決めて駆除するのかは、その地域の環境や状況、考え方や人によって異なると思います。
日本でも、害獣として指定している鹿やイノシシやタヌキなどを大量に殺しています。
殺す(駆除する)と自治体から補助金ももらえます。
「猫狩り」と聞くとギョッとしますが、害獣駆除という目的では、このニュージーランドの競技会と同じなのかもしれません。
ただ、毎年子どもも大人も集って猫狩りを楽しみ、殺した数を競って喜ぶ様子を想像すると,
何とも言えない気分になります。
動物を狩る喜びが私にはわかりませんが、狩猟はスポーツだし、この競技会もスポーツ感覚で皆楽しんでいるのでしょうか。
同じ動物でも環境によって命の重さが違うという事実
冒頭でも書いたように、猫好きは世界中に多くいて、なかでもニュージーランドは猫を飼う人が多い国のひとつだそうです。
同じ猫でも野猫は見つかれば殺されて、ペットになれば大事にされる。
日本でも、普通の野山にいるシカは駆除されるけど、奈良公園に住んでいれば保護される。
必要な動物と必要でない動物。
人が生活しやすくするために、人があらゆる生物の命の価値や重さを計り、生かすべきか殺すべきかを決めています。
最後に
このニュースを見て、猫と暮している身としてはショックを受けました。
でも、この地域にはそれだけ野生の猫が多いということなのだろうし、日本でも大量の動物を駆除したり(2022年に駆除されたシカは71万6800頭)、殺処分をしたり(殺処分されている猫は1年間に約9500匹で、そのうち約6000匹は子ネコ)しています。
生態系を守る、人の暮らしを守る、という目的のもと、人が多くの動物の命を奪っている状況を改めて考えさせられたニュースでした。
参考データ:環境自然環境局 動物愛護管理室「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況(動物愛護管理行政事務提要より作成)」(2022年4月1日~2023年3月31日)、野生鳥獣の保護及び管理「ニホンジカ・イノシシ捕獲数速報値(令和4年度)」
参考記事:何百匹の猫が恐ろしいニュージーランドの狩猟競技会で虐殺された:network for animals.org(記事にはショッキングな写真が掲載されています)