犬を、抱いたり、カートに乗せたりしてお散歩している人をよく見かけます。
「散歩で歩かせないなら意味ないじゃない」、と思う人もいるかと思います。
実際、私もそうした声をよく聞いたし、また、カートに愛犬を乗せて散歩にでかけたときには、「犬なのに歩かないの?」とか「車に乗ってお散歩? 歩かせなさいよ」など、非難されることがありました。
でもね、犬を抱っこしたり、カートに乗せたりしてお散歩するのには、いろいろな理由があるんです。
犬を抱っこして歩いたり、カートに乗せたりするワケ
犬を歩かせてお散歩しないのには、さまざまな理由があります。
① ワクチン接種が終わっていないけど、早く外の風景や音や物、空気などに慣れさせるため
仔犬はワクチンを2回、もしくは3回摂取した後でないとお散歩デビューできないので、これはよくあるパターンです。
② 病気やケガなどで歩かせることができない
心臓や脚が悪くてあまり体に負担をかけられない、興奮させられない場合、少しだけ歩かせて、あとは抱いたり、カートに乗せることがあります。
③ 体力のない小型犬や仔犬、シニア犬の場合
体力のない小型犬や仔犬、弱ったシニア犬など、お散歩の途中で疲れて歩けなくなった場合は、抱っこしたり、カートに乗せたりして帰ります。
④ お散歩が怖い
臆病だったり、外が怖かったりして、お散歩が苦手な犬の場合は、少しずつ歩かせてお散歩に慣れてもらいます。保護したばかりの犬の場合、途中で震えて歩けなくなる子もいるので、そんなときは無理をさせずに抱っこして歩いてあげます。
⑤ 怖がる道や線路を渡るとき
犬によって、嫌がる道があったり、怖くて渡れない線路があったりします。
怯えているのに無理やり引っ張れば、パニックになってしまうこともあるので、そうした場所は抱いて通ります。
⑥ 歩くのが難しくなった老犬の場合
高齢で歩けなくなった犬を、カートに乗せてお散歩させる人は多くいます。
外の景色を見て、空気を感じてもらうだけでも犬にとっては刺激になります。
また、足が弱ってあまり歩けなくなったので、いつものお散歩コースの公園の行き帰りはカートに乗せていくこともあります。
⑦ ほかの犬や猫などに吠えてしまうとき
散歩途中で会った他の犬や、猫に激しく吠えてしまう場合、周囲を気遣い抱いてその場を去ることがあります。
⑧ お散歩の途中で犬の具合が悪くなったとき
お散歩の途中で急に呼吸が荒くなる、ふらふらする、足を引きずるなど、犬のようすがおかしくなって、歩かせることができないとき。
⑨ 夏、地面が熱いとき
近年の夏は猛暑続きで、日が沈んでからお散歩に出ても、肉球が焼けるほどアスファルトが熱しています。そんなときは土がある場所まで、もしくは少し地面が冷めるまで、抱っこで歩くことがあります。中型犬や大型犬の場合は抱いて歩くことが難しいので、カートに乗せることになります。
⑩ 飼い主さんの事情
急いで帰らなくてはならなくなり、早く歩けない犬を抱っこしていくといった、飼い主さんの事情で抱いて歩く場合もあります。
最後に
うちでは犬が16歳を過ぎた頃からカートも一緒に引っ張って散歩に行くようになりました。
愛犬が好きな河川敷まではけっこう距離があり、往復歩くのは難しくなってきたためです。
行きは歩いて、河川敷での散歩を終えたら、帰りはカートに乗せて帰っていました。
17歳を超えてからはあまり歩くことができなくなったので、近所の公園までカートに乗せていき、公園で少し下ろして、また、カートに乗せて帰っていました。
カートに大きい犬を乗せていると目立つのでしょう。
そして、「元気な犬を甘やかしてバギーに乗せている」と思われるようで、そう言われるたびに老犬で歩けないことを説明しなくてはなりませんでした。
犬を飼われたことがない方、もしくは最後まで愛犬が元気にお散歩できていた方にとっては、犬を抱っこしたり、カートに乗せたりしてのお散歩は「おかしなこと」に見えるかもしれません。でも、それぞれの家族に理由があることを知っていただけたら嬉しく思います。