犬と暮すことはとても楽しくて、とても幸せを感じます。
でも、なかには可愛いからペットショップやブリーダーから買ったものの、
思ったより世話が大変だからと手放す人もいます。
”思ったより鳴いてうるさい”
”思ったより懐かない”
”思ったより暴れる(元気すぎる)” などなど。
こうした理由で、もういらないという人が実際にいるのです。
犬は可愛いだけのおもちゃじゃないし、自分好みにカスタマイズされたロボ犬でもありません。
犬それぞれに、同じ犬種であっても性格も体格も体質もそれぞれ異なります。
いつも穏やかで可愛くて病気もせずに元気で、何でも言うことをきいて……
というわけにはいきません。
病気もするし、吠えるし、粗相もするし、問題行動が出る場合もあるかもしれません。
そうした問題もひっくるめて受け入れ、最後まで面倒をみる覚悟が必要です。
飼い主は犬の保護者で、犬は家族なのですから。
そんなのは嫌だという人は、ぶっちゃけロボット犬の方がいいと思います。
ご飯も食べない、ウンチもしない、無駄吠えもない、病気にもならないロボット犬をお勧めします。
(ロボット犬も可愛いです。お値段高めですが、フードを食べさせる必要もないし、病気にならないので治療費もかかりません)
と、いうことで、犬との暮らしで後悔する人の、「こんなはずじゃなかった」ことを紹介します。
犬を飼ったことを後悔する人の理由
可愛いから買ったけど
テレビに出ている犬や、ペットショップで仔犬を見て、「かわいい! 欲しい!」と思うのは、無理もないと思います。
仔犬はぬいぐるみみたいで本当にかわいいですから。
でも、可愛いというだけの感情で、犬種の特徴や犬を飼う心構えもなく、犬を買ったものの、吠えるし、部屋のあちこちでお漏らしするし、毎日の散歩しなくちゃいけないし、世話が嫌になったというパターン。
また、子供にせがまれてペットショップで買ってあげたけど、すぐに飽きてしまったのでもういらないという家族もいます。
犬はおもちゃではないのです。
家族となるのですから、最後まで世話をし、幸せにしたいという気持ちがなければ飼えません。
人生後半、時間に余裕ができて飼い始めたが
仕事をリタイアして時間に余裕ができたので、健康のためにも犬を飼おうと考える人が少なくありません。
人の寿命は延びて、65歳を過ぎてもまだまだ元気です。
しかし、犬の寿命も延びています。20歳まで生きることも多くなりました。
で、ここで問題なのが、65歳で仔犬を飼い始めたら、犬が10歳のときには75歳、15歳のときには80歳です。
まだまだ元気な10歳の犬を、十分にお散歩させてあげられるでしょうか。
犬だって年をとれば体力が落ちるはずと思うかもしれませんが、10歳はまだまだ元気です。
それに、一番大変なのは、犬が元気な時期ではなく、老いてからです。
犬も15歳を超えると程度はあれ、介護が必要になってきます。
足腰が弱った犬をサポートし、もし、寝たきりになったら数時間ごとに起きてオムツを替えたり、お薬をあげたり、寝返りをさせたり、ちゃんと寝る時間はありません。
犬を抱きかかえることも多くなるので、特に中型・大型犬の場合は体力が必要です。
80歳になってその体力があるか、そもそも自分が健康でいられるかどうかも分かりません。
今が元気だと、10年後もまだまだ元気と思いがちですが、なかなかそうはいかないものです。
私も10年前と今の自分を比べて、こんなに体力が衰えるものかと驚愕しています。
ご近所でも、飼い主さんの方が先に介護が必要になって犬を手放した方や、ご主人が発作で倒れて犬の面倒をみられなくなって犬を施設に入れた方、また、高齢で飼い主さんが亡くなった方など、様々なケースを見てきました。
犬に何が起こるか分からないのと同様に、飼い主さん側にも何が起こるかわかりません。
もし自分になにかあった場合のことを考えて、愛犬のことを頼める後継人を決めておくと安心でしょう。
高齢の親のために買ってあげたけど
お子さんが高齢で一人暮らしをしている親のために犬を買い与えるという、これもよくあるパターンです。
犬がいれば退屈しなくてボケ防止にもいいし、運動にもなるだろうというわけです。
実際に知り合いのおばあさんは、お子さんから仔犬の柴犬を与えられ、毎日お散歩をして可愛がっていました。
でも数年後にはお散歩の途中で休んでいる姿が見られるようになり、その後は面倒を見られなくなったようです。
他にも、途中で認知症が発症し、施設に入った方もいました。
その方の場合、同居されていたお子さんが代わりに面倒を見るようになったのでよかったのですが、お子さんの生活環境が犬を飼える状態ではないことも多くあります。
もしものときには自分が犬の後継人になるつもりがなければ、安易に犬を与えるべきではないと思います。
こんなにお金がかかるなんて
犬はお金がかかります。
正確に言えば、家族として大事にするならお金がかかります。
安いドッグフードだけ与えて、犬の具合が悪くても病院には行かず、治療もしない、フィラリア予防もしないというのであれば別ですが。
犬にかかるお金で、フードやペットシート、リードやハーネスなどの日常品は別として、一番大きい出費は医療費でしょう。
毎年のフィラリア検査や健康診断、4月から10月くらいまではフィラリア用の薬が必要です。
混合ワクチンの接種も義務ではありませんが、犬を感染症から守るため、コアワクチンの接種は推奨されています。→混合ワクチンは何種打つべき? 打たなくてもいい?
そして、下痢や膀胱炎、皮膚炎などから腎臓病、心臓病、腫瘍まで、犬も人間と同様にさまざまな病気にかかります。
骨折や脱臼などのケガも少なくありません。
手術が必要な場合もありますし、長患いすることもあります。
動物病院は自由診療なので、診療費が思いのほかかかります。大きな手術の場合は数百万円かかることも珍しくありません。
犬は家族の一員です。
「お金がかかるから治療はしない」という選択は、あまりに悲しいです。
●年間約35万円
以下は、アニコム損害保険株式会社が犬の年間支出について行ったアンケートの結果です。
2022年度は年間で約36万円、2023年度は約34万円となっています。
ただし、犬はシニアになってから様々な病気になりやすく、治療費もかさんでいく傾向にあります。
こちらのアンケートの犬の平均年齢は約5歳となっているので、実際にはもっとかかると考えられます。
将来の犬の治療費に不安があれば、もしものためにペット保険に加入しておくと安心です。
→ペット保険は本当に入っておいた方がいい?
一人暮らし。仕事で犬の介護ができない
一人暮らしで犬を飼う場合、当然、面倒はすべて一人で見ることになります。
犬が若いうちは、仕事をしながら面倒を見ることができますが、犬が老いて寝たきりになった場合にはそうもいきません。
おむつの交換や数時間ごとに少しずつご飯を食べさせたり、お薬をあげたり、寝返りをさせたり、そばを離れることができません。
すでに仕事をリタイアしている人、または十分な蓄えがあるのであれば、仕事を辞めることもできます。
でも、そうでない場合は、自分がいない間の犬の世話を誰かに頼むか、ペットシッターに頼むか、もしくは老犬ホームに入れるのか。
犬は家族です。
できれば、長年一緒に過ごした犬のそばに最後までいてほしいと思います。
もし、犬が高齢になって寝たきりになったとき、どうやって介護をしてあげられるのか、対応策を考えておいた方がいいでしょう。
まとめ
犬を飼うということは、保護者として、家族として、犬を見送るその日まで責任をもって大事に世話をするということです。
犬は飼い主がすべてです。
幸せな犬生を送れるかどうかは飼い主さんによって決まります。
愛情はもちろんのこと、体力も経済力も必要です。
朝夕のお散歩をきちんとするには時間も拘束されます。
「かわいいから飼う」前に、こうしたことも考えて、覚悟を持って家族に迎えてくださいね。