犬の認知症 どんな症状? 予防法や対策は?

ペットの寿命が延びるとともに、人間と同様、犬も認知症になる可能性が高くなっています。

特に和犬は認知症になりやすいというデータもありますが、認知症はどの犬種でも発症します。
認知症になるとどんな症状が現れるのか、認知症かなと思ったらどう対応すればいいのか、予防は
できるのかなど、犬の認知症について解説します。
(この記事は獣医さんの話や経験、書籍などの参考資料をもとに書いています)

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出来ないことが出てきたら認知症かもしれません

いつまでも子どものよう感じていた愛犬の認知症の症状に、戸惑う方も多いと思います。
私の愛犬は16歳を過ぎて同じ道を行ったり来たりするようになりましたが、それが認知症の症状だとは認めたくありませんでした。白内障も患っていたので、目がよく見えないから気になるにおいがするとそれを追って、何度も行ったり来たりしちゃうのだ、なんて考えるようにしていました。
愛犬が、「自分がどこにいるのかもう分からなくなっている」、とは思いたくなかったのです。

認知症の症状が現れる時期は犬種や大きさなどによってまちまちですが、10歳頃から発症がみられ、15歳を超えると増加の傾向にあるようです。
犬の認知症に初めて接する方は、初期症状では認知症だと気づかないかもしれません。
そのため、いつもできていることができなかったり、何か失敗したりすると、「なんでできないの」「なにやってるのよ」と、一方的に叱ってしまいがちです。
でも、認知症だとしたら、むやみに叱っても、犬は戸惑うばかりです。

10歳を超えて、もし、愛犬に「気づかない」「できない」「失敗する」ことが出てきたら、認知症を疑ってみてください。

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認知症の症状

認知症にはさまざまな症状があり、どの症状が強く現れるかはそれぞれ異なります。

(認知症の主な症状)

・自宅や庭など、よく知っているところで迷う

・散歩をしていて、同じ道を行ったり来たりする

・狭いところに頭を突っ込んで出られなくなる

・トイレの場所が分からなくなる

・同じところをグルグル回る

・昼間によく寝るようになり、昼夜逆転する

・食欲が増す、ひっきりなしに食べたがる

・鳴き続ける

・ぼうっとして呼んでも反応しなくなる

・音や触れることに過敏になる

・慣れている人や、仲が良かった犬に攻撃的になることがある

認知症になった愛犬への対応

・家の中で徘徊したり、グルグル回りだしたりするようになったら
サークルなどで囲って行動範囲をコンパクトにしましょう。
ワンちゃんの大きさにもよりますが、子ども用のプールを利用する方も多くいます。

また、お部屋をチェックし、愛犬が頭を突っ込みそうな隙間はなるべくふさぎ、ぶつかると危なさそうな家具の角などはクッションでカバーしておきましょう。

・お留守番をさせるときは
認知症になると狭い場所に顔を突っ込んだり、入ったりしたがりますが、そのまま出られなくなってしまいます。どうしていいかわからず、鳴き続けてしまうこともあるので、愛犬をお留守番させるときはサークルに入れてあげた方が安全、安心です。

・何度もご飯を食べたがり、欲しがって吠えるときは
1食の量を減らして、与える回数を増やしましょう。

・夜、夜中に吠える
認知症の症状のなかでも夜鳴きは、寝ることができない、近所迷惑が心配など、大きな悩みのひとつです。ご近所が気になって、夜鳴きが始まると毎晩、散歩に連れ出されている方もいました。

高齢になると昼間は寝ていることが多くなります。でも、ずっと寝かせておくと夜は起きてしまうという悪循環に陥ります。少しでも夜に落ち着いて寝てもらうには、昼間、ずっと寝かせておかないで、声をかけたり触ったり、散歩に連れ出したりするなど、刺激を与えてあげることが大事です。

ただ、昼間に少しばかり体を動かすようにしても、夜鳴きをぴたっと止まらせるのは難しいものです。
我が家の愛犬の場合、認知症で逆に昼間にものすごい勢いで徘徊して動き続けても、夜鳴きをしていたからです。

集合住宅なので、やはりご近所がとても気になり、「夜鳴きに効くサプリ」などを必死に検索してあれこれ試してみましたが、うちの場合はどれも効果はありませんでした。
そこで、獣医さんに相談したところ、軽い睡眠導入剤のような薬を処方してくれました。
おかげで愛犬がよく寝られるようになり、夜中に起きる回数も減って、だいぶ落ち着きました。

また、周囲の方に事情を話し、「もしうるさかったらすみません」と、あらかじめ謝っておくと大分気持ちが楽になります。

・排泄の失敗が増えたら
トイレの場所が分からなくなってきたようであれば、マットなどを敷いてトイレまでの道を分かりやすくするのも有効です。
また、あちこちで粗相をするようになったら、しそうな場所にペットシートやビニールシートを置いておくと後片付けが楽です。
粗相が増えるのは仕方がないこと。決して叱ったりしないでくださいね。

状況に合わせてオムツを利用するのもいいと思いますが、ペット用のオムツはけっこう高いです。
なので、利用頻度が多い場合は、ペット用より安い、人間の赤ちゃん用のオムツを買って、必要な部分は穴をあけて活用している人も多くいます。

外でないと排泄しない子の場合は、できれば外に出る回数を増やしてあげるといいでしょう。
高齢で足腰が弱って外に出て歩かせるのが難しくなったら、カートに乗せて行くなどして連れ出してあげてください。

・攻撃的になったら
飼い主さんや、これまで仲のよかった犬に対しても急に攻撃的になることがあります。
視力や聴力などの衰えも大きな要因で、警戒心や恐怖心が募り、過剰に反応してしまいます。
急に触ったり、目の前で手を動かしたりすると驚いて、とっさに噛みついて対応しようとすることもあるので、犬の前では急に動かない、手を出さない、触らないこと。
犬が不安にならない、怖がらないように、見えるところにそっと手を出してにおいを嗅がせてあげたり、優しく名前を呼んであげたりしてコミュニケーションしてください。

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認知症は予防できる?

残念ながら、今のところ認知症を確定する検査や、確実な治療法はありません。

ただ、認知症予防には脳に刺激を与えてあげることが大切だというのはわかっています。

犬に刺激を与えるには

・散歩コースを変える
いつも同じお散歩コースでは刺激がありません。
いろいろな道を通ったり、場所に行ったりすることで、見えるものや匂うもの、足の裏の感触、ワン友との出会いなど、新しい刺激を受けることができます。

・新しいおもちゃを与える
新しいおもちゃは刺激を与えてくれるもののひとつです。
定期的に新しいおもちゃを与えてあげましょう。
また、知育玩具を取り入れることも有効です。

・ほかの犬とのコミュニケーション
ドッグランなどでほかの犬と交流することもよい刺激になります。
ただ、攻撃的になる症状がある場合は、注意が必要です。
専門家に相談し、できる範囲で交流の機会を作ってください。

・飼い主さんとのコミュニケーション
フリスビーやボール、コマンドを使ったゲームなどで飼い主さんと遊ぶことは、楽しく、社会的な刺激にもなります。

・マッサージ
マッサージでリラックスさせてあげることは、落ち着かせたり、寝つきをよくしたりするのをサポートします。そして、何より飼い主さんに触れられることで安心感を抱き、脳の活性化にもつながります。

まとめ

犬の認知症の症状はさまざまです。初期では分からない程度であっても、しだいに顕著な症状が現れるので、「あれ? なんかおかしいな」と思ったら、早めに獣医師に相談しましょう。

認知症予防には、脳に刺激を与えてあげることが大切です。
新しいおもちゃや遊び、友達など、愛犬がイキイキ楽しく生活できるよう、気を配ってあげてくださいね。

また、認知症が悪化してくると、飼い主さんにも大きな負担がかかります。
愛犬はできないことが増えていきますが、決して叱ったりしないこと。
誰でも老いるのは当たり前。認知症で粗相が増えるのも仕方がないことです。
獣医師のアドバイスも取り入れながら、愛犬にとっても飼い主さんにとっても快適な暮らしができる環境を作っていきましょう。
愛犬が高齢になるまで一緒にいられることに感謝しながら。

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