外を散歩する犬はノミ・ダニ予防は欠かせません。
外を自由に出歩いている猫も、どこかでくっつけてくる可能性があるので必要です。
じゃあ、家の中だけで暮らす完全室内飼いの猫はどうなんでしょうか?
外に出ないんだから必要ないんじゃないって思いながらも悩んでいる人、多いと思います。
私もその一人です。
室内で猫を飼っているまわりの友人、知人にたずねてみたところ、「外に出さないから必要ない」という人もいれば「家の中にだってダニはいるんだから必要よ」という人もいて、よくわかりません……。
そこで、猫が気をつけたいダニの種類や、外に出ない室内飼いの猫にもノミ・ダニ予防の薬は必要なのか、調べてみました。
結果からいうと必要なんです!

猫に寄生するダニはどんなダニ?
「ダニ」と一口にいっても、なんと4万種類ものダニがいるそうです。
そのなかで、特に猫に寄生しやすく気をつけたいダニが、マダニやヒゼンダニです。
① マダニ

一般的によく知られているのが、このマダニでしょう。
日本全国、野山の自然豊かな場所はもちろんのこと、公園の草むらや空き地、お庭など、どこにでも見られるダニです。
感染経路
ダニはたいてい植物にくっついて、人や動物が来ると体に乗り移り、柔らかい部分に噛みついて吸血します。
このときマダニは口先を動物の皮膚に刺し、セメント状の分泌液を出して皮膚にがっちりくっつきます。こうなったらお腹いっぱい吸血するまで体から離れません。
春から夏の時期に活発になりますが、温かい地域では冬でも活動しています。
人から猫、猫から人にもうつります。
飼い主が外からマダニを持ち帰って猫にうつすこともあるので、室内飼いの猫でも注意が必要です。
猫がマダニに噛まれるとどうなる?
マダニに噛まれても痛みがないので、たいてい猫は気づきません。
マダニの成虫の大きさは3~8 mmで、吸血すると10から20 mm。飼い主さんが気づくのも、多くの場合、吸血してマダニが大きくなったときです。
猫がマダニにかまれるとマダニの唾液からアレルギー皮膚炎を起こすことがあります。
また、ライム病や重症熱性血小板減少症候群などの重い病気を引き起こす可能性があります。
猫がマダニにかまれたら
猫の体にマダニを見つけても、絶対に慌ててマダニを引っ張って取ろうとしないこと。
皮膚に入り込んでいるマダニの口先が皮膚に残ってしまい、炎症を起こすかもしれません。
また、マダニが病原体を媒介し、感染症になる恐れもあります。むやみに素手で引っ張って取ろうとせずに、一番安全なのは、動物病院で取り除いてもらうことです。
もし、まだ皮膚にかみついていなくて乗っかっているだけの状態であれば、ピンセットやブラシを使ってそっと取り除きましょう。
この時、潰してしまうと感染が広がってしまうため、絶対に潰さないよう注意すること。
こちらも参考に⇒東京都健康安全研究センター » マダニにご注意! ~マダニQ&A~

②耳ダニ(ミミヒゼンダニ)

耳ダニは、その名の通り、耳の中に寄生するダニです。
感染経路
耳ダニに感染している猫からうつります。
野良ネコとの接触で感染する可能性も高いので、お外に出る猫は気をつけましょう。
また、多頭飼いしている家庭は、誰か1匹が感染するとほかの猫にも感染が広がってしまいますので、
特に気をつけましょう。
耳ダニに感染したらどうなる?
耳ダニに感染すると、耳アカやダニのフンが増えて耳の中が黒くなります。
そして、猛烈に痒くなります。
耳を執拗にかいていたり、耳の中が黒くなっていたりしたら、耳ダニに感染している可能性大です。
そのままにしておくと、痒みはどんどん激しくなります。かきむしって炎症を起こしたり、中耳炎などを発症したりすることもあり、症状は悪化する一方です。
また、あまりの痒みや、炎症を起こして痛みが出ると、食欲がなくなったり、元気がなくなったりすることもあります。
症状が出たら
耳の中が黒くなっていたら、綿棒やティッシュなどで掃除をしたくなりますよね。
でも、猫の耳の中の皮膚はとても薄くて傷つきやすいので、飼い主さんが自分で猫の耳掃除をするのはおすすめできません。
すでにひっかいた傷があれば、ちょっと触れただけでも痛みが生じます。
それに、耳ダニは耳掃除で黒い垢を取り除くだけではい完全に治すことができません。
耳の中が黒い、耳をやたらにかく、頭を振るなどしていたら、まずは動物病院で診てもらい、正しい処置をしてもらいましょう。

③疥癬(ショウセンコウヒゼンダニ)

疥癬という皮膚疾患の原因になるのが、ショウセンコウヒゼンダニです。
ショウセンコウヒゼンダニは皮膚の浅い部分(角質層)にもぐりこんで皮膚の下にトンネルを掘り、そのなかで排泄や産卵します。怖すぎますね。
これにアレルギー反応を起こすことで、とんでもない痒みが発生します。
感染経路
感染している猫(猫科の動物)からうつります。多頭飼いの家庭では、共有しているベッドやカーペット、おもちゃやブラシなどからもうつってしまいます。
野良ネコと接触することでの感染が多いので、外に出る猫ちゃんは特に気をつけましょう。
また、外に出なくても、飼い主さんが疥癬になっている猫と触れ合った際に、ダニを衣服や身体にくっつけてくることもあります。飼い主さんが外でほかの猫と接するときにも注意が必要です。
人間や犬も疥癬になりますが、ダニの種類が違います。まれにうつることもありますが、猫への感染経路はほとんどの場合、感染している猫からです。
猫から人にも移ります。種類が違うので人の皮膚で繁殖することはできませんが、一時的な寄生はできるので、疥癬の症状がでます。
疥癬の症状
●猛烈なかゆみ
アレルギー反応によって、猛烈なかゆみに襲われるので、年中身体をかくようになります。
また、耳の縁や頭部、首、顔から広がることが多いため、頭を振る動作が増えるのも特徴です。
体をしょっちゅう搔いている、頭を振っている場合は疥癬に感染しているかもしれません。
●皮膚がカサカサ、ゴワゴワになる
皮膚の角質が厚くなり、鱗のようになってカサカサ、ゴワゴワ、しわしわした感じになります。
さらに悪化すると、赤い斑点が見られるようになります。
●フケ・脱毛
フケが多くなり、毛の根元にかさぶたができると抜けが増えます。
●食欲不振
疥癬は、猫の皮膚病のなかでも最強の痒みと言われています。
あまりのかゆさに、ストレスで食欲や元気がなくなることもあります。

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疥癬かなと思ったら
●すぐに動物病院へ!
痛いのと同様に、強烈な痒みは耐え難い辛さです。
できるだけ早く動物病院で診察してもらい、処置をしてあげてください。
多頭飼いであれば、症状が出ていないように見えるほかの猫たちも感染している可能性があります。
全員一緒に検査してもらうことが必要です。
●使用していたものをすべて消毒
感染した猫ちゃんが使っていたタオルや食器、ベッド、首輪、おもちゃ、ケージにもダニが付着している可能性が高いです。
ヒゼンダニは60度以上の高温に10分以上浸すと死滅します。
使用しているものはすべて煮沸してダニを死滅させましょう。
天日干しでダニを死滅できると思いがちですが、天日干しではダニを完全に退治することはできません。日が当たらない場所に巧みに移動してしまうからです。


ノミ

ノミの中でも猫によくつくのが「ネコノミ」ですが、人にも犬にもくっついて吸血します。
大きさは約1.5~3ミリメートル(雌の方が大きい)で、気温18~30℃、湿度50~80%くらいで活発になります。
雨の多い梅雨は、ノミの活動に最適な季節です。
感染経路
ネコノミは、ネコや犬などの体に卵を産みつけますが、卵は体に付着せずに落ちてしまいます。
孵化した幼虫は成虫の糞やアカ、猫のフケなどを食べて成長し、蛹から成虫になります。
成虫になると猫の体に寄生して8分以内に吸血し、2日以内に卵を産みます。
卵を産み付ける→いったん落ちる→その場所で孵化する→成虫になり猫の体に寄生して吸血→卵を産むこのサイクルを繰り返し、駆除しなければあっという間に増えていきます。
春から夏がノミが活発になる季節ですが、家の中はエアコンや加湿器などで1年中、適度な温度と湿度が保たれています。
このため、一度家の中に入り込むとノミは季節を問わず、産卵、寄生を繰り返すことになります。
ネコノミは30㎝くらいジャンプします。草にくっついていて、通りかかった人や犬、猫に飛び移ります。また、ほかの猫や犬、人から飛び移ってくることもあります。
ノミに刺されるとどうなる?
●強いかゆみが出る
もの凄くかゆいので、身体をかく、しきりに体をなめる、噛むなどします。
●湿疹や脱毛
ノミに血を吸われるときに唾液が体内に入り込むことでアレルギー反応を起こし、ノミアレルギー性皮膚炎を引き起こします。
ノミアレルギー性皮膚炎になると激しい痒みのほか、湿疹や脱毛などの症状も出ます。
●サナダムシの媒介
サナダムシの卵を食べて成虫になったノミを、猫がグルーミングなどで食べてしまうと、猫の小腸にサナダムシが寄生してしまい、下痢や嘔吐を引き起こします。
ノミを見つけたらどうしたらいい?
猫にノミがいたら、①猫についたノミを駆除。そして、②部屋の中のノミを徹底的に退治すること。
猫についたノミを駆除する
猫についたノミを駆除するには次の4つの方法があります。
①手で取り除く
手で取る場合は、ノミの体をそのまま粘着テープでくるむなどして丸ごと取り除きます。
ノミのお腹には卵がいるかもしれません。
潰してしまうと卵が広がってしまうので、絶対に潰さないこと。
②ノミ取りシャンプーをする
ノミを見つけたときに猫ちゃんを洗える状況であれば、すぐにシャンプーし、ノミの糞や卵も洗い流しましょう。
③ノミ取り用のクシで取る
細かい目のノミ取り用のクシでとかすと、簡単にノミを取り出すことができます。
取り除いたノミは決して潰さずに、そのまま粘着テープでくるんで水の中に沈めて退治しましょう。
④駆除薬を付ける
駆除薬をつけて素早くノミを駆除しましょう。
駆除薬にはスポットオン、錠剤、首輪などの種類があります。
動物病院で相談し、猫ちゃんに適した薬を処方してもらうと安心です。
市販薬では効果や持続力に差があるため、動物病院で処方してもらうのが安心です。
また、動物病院で処方される薬と市販の薬の大きな違いは、フィラリア予防できるかどうかです。
猫のフィラリア症の報告は、犬の10%程度と少なくなっています。
このため、蚊の対策をしっかり行ったうえで、市販薬を使っている人もいます。
とはいえ、フィラリアで突然死する猫もいるので、こうしたことも含めて動物病院で相談してみるといいでしょう。
家の中のノミを駆除する
猫についてるノミを取り除いても、家の中にはほかのノミや卵が残っています。
徹底的に駆除しないと、寄生を繰り返します。
④部屋をきれいに掃除する
ノミの卵は体から落ちて孵化し、また寄生します。
猫ちゃんのベッドや、マット、通り道などに卵が落ちている可能性が高いので、猫ちゃんが過ごしている場所を中心に、ていねいに掃除機をかけましょう。
⑤防虫剤で部屋の中のノミを退治
スプレーやスモーク、エアゾールタイプなど様々な製品があります。
注意事項をきちんと読んで、ペットに安心な製品を選びましょう。
まとめ

ノミやダニから猫ちゃんを守るには、まず完全室内飼いにして、感染している動物との接触をなくすことですが、飼い主さんが外からノミやダニを運んでくることもあります。
ノミやダニはものすごい勢いで繁殖するので、一度部屋に入れて寄生されてしまうと、その後の駆除が大変です。
普段からダニ・ノミ対策をしっかり行って、愛猫を気が狂うほどの痒みや病気から守ってあげましょう。