アニメやドラマの中で、猫に牛乳をあげているシーンがよく登場しますよね。
野良猫に牛乳をあげるとか、冷蔵庫から出した牛乳を猫のお皿にもついであげるとか。
「牛乳は猫にとってよいもの」というイメージがありますが、実際はどうなんでしょうか?
答えはNOです。
その理由は、ほとんどの猫は乳糖不耐症だからです。
乳糖不耐症ってなに?

「乳糖不耐症」とは、乳糖を分解する酵素が足りないために下痢や腹痛などの症状が出ることです。
人間でも乳糖不耐症の人はいます。
実は、私も軽度の乳糖不耐症です。
牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしたり、膨れて苦しくなります。
仔猫は、生まれたときには乳糖を分解するラクターゼという酵素を持っています。
これは、生後、お母さんから与えられるミルクをちゃんと消化するためです。
でも、この酵素は成長するにつれて減っていき、離乳する生後10週間くらいになると乳糖を分解できるほどの酵素がなくなります。
このため、成猫は乳糖不耐症になるのです。
つまり、大人になったらミルクは必要ないということですね。

とはいえ、一般的に猫は牛乳が好き。
あげるとおいしそうにぺちゃぺちゃ飲むよね。
これは、仔猫の頃にお母さんからもらっていた母乳の味と香りに惹かれるからなんだって。
猫に牛乳を与えるリスクは?

乳糖不耐症になって下痢や嘔吐することがある
乳糖を分解できないと、未消化の乳糖が腸管を通過するときに水分を吸収します。
このため水分を過剰に吸収してしまい、下痢を引き起こします。
まだ幼い子猫は下痢や嘔吐が重症化することもあります。
仔猫にミルクを与える際には必ず猫用ミルクを与えましょう。
ガスが溜まる
また、大腸内の細菌が糖を大量に消費して、消化されなかった糖が腸内で発酵してガスが発生します。お腹にガスが溜まって膨満感や腹部の不快感を引き起こします。
24時間以上たっても回復しない場合は往診を
軽度の乳糖不耐症であれば、たいて24時間くらいで回復します。24時間を過ぎても体調が回復しない場合には、獣医師に診てもらいましょう。

猫はみんな乳糖不耐症なの?

そうでない猫もいるよ。
でも、牛乳には乳脂肪分が多く含まれているから、あげ続けると肥満になるリスクも。乳糖不耐症でなくても牛乳はあげない方がいいね。
アレルギーを起こすことも
牛乳にはたんぱく質が豊富に含まれます。
ガゼインやホエイなどのたんぱく質成分に反応してアレルギーを引き起こし、皮膚疾患を招くこともあります。最悪の場合はアナフィラキシーショックを起こし、命にかかわることもあるので注意が必要です。
まとめ
牛乳は猫の体に適していないので、消化不良やアレルギーを引き起こすなど、猫の体にはいいことがないようですね。
仔猫を育てるときなど、どうしてもミルクを与えたい場合には、必ず猫用ミルクを与えるようにしてくださいね。