犬の治療費、ワクチン、薬の料金は動物病院によって大きな差がある

動物病院は人間のお医者さんと違って保険がききません。
そのため、動物病院の治療費や薬が高いことはほとんどの方が知っていると思います。

「保険きかないからしょうがないよね」と納得しています。
では、同じワクチンやお薬などでも、動物病院によって金額に差があるのは知っていますか。

動物病院にかかるお金は、ペットと暮らすうえで大きな出費のひとつ。
できれば安い方が助かりますよね。
というわけで、料金に大きな違いがあるのはなぜか、どれくらい差があるものなのか、
気になるので調べてみました。

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診察報酬は獣医師が自由に決めている

近所に動物病院が多いため、犬友さんたちが通っている病院もばらけています。
そこで、お散歩で会うと、お互いに通っている動物病院の話もよくします。 そうしたなかで、「あそこは親切だけど診察料が高くて」とか、逆に「検査代が安くて助かったわ」とか、「うちが通っている病院は5種ワクチンで●●円もかかったのよ」など、料金の話も出てくるので、病院によってこんなに料金設定が全然違うのかと驚くことがあります

治療費についてはそれぞれ治療法も違うだろうし、金額に差があっても当然です。

ただ、同じワクチンや検査でも結構な料金差があるんですよね。
どうして病院ごとにこんなに差があるのかといえば、動物においては人の治療のように保険点数などの基準がないため、「獣医師が各々、料金を設定している」からです。

では、なぜ獣医師が自由に料金を決めているかというと、「独占禁止法」という法律があるためです。独占禁止法では、獣医師団体が基準料金を決めたり、獣医師同士が話し合って料金を設定したりすることを禁じているのです。

そうすることで自由に競争できるようにし、また、診療費がとてつもなく高くならないようにしているのです。

獣医師の診療料金は、独占禁止法により、獣医師団体(獣医師会等)が基準料金を決めたり、獣医師同士が協定して料金を設定したりすることが禁じられています。  
つまり、現行法のもとでは獣医師は各自が料金を設定し、競争できる体制を維持しなければならないことになっております。したがって動物病院によって料金に格差があるのはやむを得ない状況と言えます。

小動物診療料金|公益社団法人日本獣医師会 (jvma-vet.jp)

「獣医師が自由に料金を決められるなら、どの獣医師も料金をできるだけ高くしちゃうんじゃないの?」と、浅はかな私は思いましたが、料金が高すぎれば皆、他の病院に行ってしまいます。
でも、それでは逆に生き残れないし、そもそも動物病院の役割はペットの健康と命を守ること。
どの動物病院の診療料金もバカ高くなってペットが必要な治療を受けられないなんて、本末転倒です。

料金をできるだけ釣り上げて、儲かればそれでいい、なんて考えの獣医師はいないのでしょう(と、思いたい)。

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料金差にはこんな理由がある

とはいえ、動物病院によって診療料金にかなり差があるのは事実です。
これは、獣医師の診療についての考え方だったり、設備の整い方だったり、スタッフの人数だったり、医療器具の充実度だったり、さまざまな理由があるようです。

なので、治療費だけを見て「この病院は高い」とは一概に言えませんので、同じ種類の混合ワクチンや検査費、初診料・再診料などで比較してみるといいでしょう。

日本獣医師会では「小動物診療の透明性を高め、その適正化を図ること」を目的として、「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」を行い、その結果を公表しています。

料金の大体の目安がわかるので、気になる方は確認してみてください。
ここでは、基本的な初診料や再診料、ワクチンの料金を見てみたいと思います。

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初診料

一番多いのは1,000~2,000円未満
1万円以上のところも

① 1,000~2,000円未満 833件( 76.0%)
② 500~1,000円未満 155件( 14.1%)
③ 2,000~3,000円未満 65件( 5.9%)

初診料については「1,000~2,000円未満」が76%を占め、ダントツで多くなっています。
2番目に多いのが「500~1,000円未満」で14.1%、3番目が「2,000~3,000円未満」で5.9%です。
また、「無料」というところも23件(2.1%)あり、逆に最も高かったのが「12,500~15,000円未満」で1軒(0.1%)ありました。
無料のところから12,500~15,000円未満まで、初診料だけでかなりの差があることがわかります。

再診料

最多は500~1,000円未満
最高額は7,500~10,000円未満

① 500~1,000円未満 848件( 77.4%)
② 1,000~2,000円未満 125件( 11.4%)
③ 500円未満 54件( 4.9%)
③ 無料 54件( 4.9%)

再診料で最も多いのが「500~1,000円未満 」で848件( 77.4%)。
ほとんどの動物病院がこれ位の値段に設定しているようですね。
次に多いのが「1,000~2,000円未満」 125件(11.4%)で、「無料」「500円未満」が共に54件(4.9%)になっています(なんて良心的なんでしょう!)。
一番高いところは「7,500~10,000円未満 1件( 0.1%)」ですが、再診料だけで1万円て。
セレブ御用達病院なのでしょうか。なんて、想像が膨らみます。

調剤料 

ええ! 調剤に1万2500も⁉

【内用(1 回あたり)】

① 500円未満 346件( 31.6%)
② 無料 310件( 28.3%)
③ 500~1,000円未満 265件( 24.2%)

【外用(1 回あたり)】

① 無料 494件( 45.1%)
② 500円未満 234件( 21.4%)
③ 500~1,000円未満 189件( 17.2%)

個人的に一番驚いたのが調剤料です。
気づいていない方もいるかもしれませんが、お薬を出してもらうと多くの場合、
調剤料が計上されています。

調剤料とは、薬をそろえたり、調合したり、割ったり紛糾したりして、容器や袋につめる技術料のことです。 一般的には数百円ですが、この「調剤料」の調査結果を見ると「無料」のところから一番高額で「12,500~15,000円未満」となっています。
大量に調合をしたり、調合にものすごく手間がかかったりする薬もあると思います。
ただ、この調査結果は(1 回あたり)となっているので、お薬をもらうたびにこんなに調合料がかかるとは、その理由が気になります。

処方箋料

また、お薬を出すときに「処方箋料」をとるところもあります。
この金額にも大きな差があるようです。

① 無料 365件( 33.3%)
② 500~1,000円未満 220件( 20.1%)
③ 500円未満 158件( 14.4%)

処方箋については無料のところが多く、次に500~1,000円未満 で、高額のところでは、
10,000~12,500円未満となっています。
調剤費と処方箋料の両方を請求する病院もありますので、支払書などをチェックしてみてください。

参考:家庭飼育動物の診療料金実態調査

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まとめ

診療費をチェックしてから動物病院に行く人はあまりいないと思います。
そして、診療費をお支払いするときに初めて「高い」と感じても、どこも同じだろうと思っている人が多いのではないでしょうか。

しかし、ここでお伝えしたように、動物病院の診療費は自由診療のため、病院によって大きな差があります。

病気やケガをしたとき、ワクチン接種や健康診断、ノミ・ダニの検査など、動物病院にかかる機会は多くあります。気軽に獣医師に相談できる環境を作っていくためにも、料金設定は気になるところ。
ペットの一生を通じてかかるコストなので、負担はできるだけ抑えたいですよね。
最近では、動物病院のHPで「料金」を掲載しているところも多いので、事前にチェックしてみるといいと思います。


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