犬と暮す人にとって、犬は大事な家族の一員です。
犬が幸せでいることを願っていますが、そのうえで大切なのが、犬のストレスを減らしてあげること。
そして、まず私たちが、犬のストレスに気づいてあげなくてはなりません。
犬は不安や恐怖、ストレスを感じたときには、自分を落ち着けるためにいろいろなサインを発して気持ちを伝えています。
飼い主が、まずこのサインに気づいてあげることが大切です。
多くの飼い主は犬のストレスサインの知識がない
イギリスのケネルクラブが「ストレスに対する犬のボディランゲージに、飼い主がどれだけ気づいているか」という調査を行いました。
驚いたのは、調査対象となった飼い主の多くが、典型的な犬のストレスサインでさえ知らなかったということです。
それも、2,460人のうち72%の飼い主は、「自分の犬が恐怖や幸せを感じているときはわかる」と主張していたにも関わらずです。
驚きの調査結果
飼い主のうち、「犬の尻尾が足の間に入り込んでいる」「体が硬直している」など、犬が恐怖を感じたときに行う最もよく知られているボディランゲージを認識できた人は半数未満。
ほかにも以下のように過半数の人が、犬のよくあるストレスサインについて知らなかったという結果になりました。
・飼い主の88%が、あくびがストレスサインであることを知らなかった。
・飼い主の82%が、唇を舐めることがストレスサインだと知らなかった。
・飼い主の65%が、目を見開いて見つめることがストレスサインだと知らなかった。
また、28%の飼い主が、自分の犬が予期せぬ行動をとる可能性があると答えています。
つまり、犬のサインを知らない→犬が怯えていたり、不安やストレスを感じていたりすることに気が付かない→犬の行動がわからない→犬が予期せぬ行動をとる、となるわけですね。
ケネルクラブでは、このように飼い主が犬のストレスサインについて知らないことで犬のストレスに対応することができず、それが原因で深刻なトラブルに発展する可能性もあるとして懸念しています。
参考ページ:https://mrcvs.co.uk/en/news/22830/One-in-10-dog-owners-don’t-know-stress-signs,-study-finds
犬が不安や恐怖を感じているときのサイン
犬が不安や怖いと感じているときには次のようなしぐさが見られます。
・耳を後ろに倒す
リラックスしている場合もありますが、相手に対して敵意がないことを伝えたり、恐怖心があるときにも耳を倒すことがあります。
・尾が下がる、脚の間に尻尾を入れる。
お散歩中に大きな音が聞こえた、車が通った、人が近づいてきたときなど、多くの場面でよくみられるサインです。
・震える
恐怖や強い不安から体が震えます。病院で震えてしまう子も多くいますね。
・逃げようとする
恐怖心からその場から逃げようとします。
・吠える、または唸る
吠えたり唸ったりすると「怒っている」と思いがちですが、怖いときにも吠えたり唸ったりします。
よだれを垂らす
とても緊張しているときや、不安や恐怖を感じているとき、よだれを多く垂らすことがあります。
カーミングシグナルを知っておこう
カーミング(calming)は、落ち着かせるという意味です。
カーミングシグナルは、犬が自分や相手を落ち着かせるためのボディランゲージ。
犬はとてもたくさんのカーミングシグナルを使って気持ちを周りに伝えています。
体をかく、あくびをする、顔をそむけるなども、カーミングシグナルです。
知らないと「体が痒いんだね」「眠いのかな」「無視している」などと勘違いしたまま過ごしてしまい、犬のストレスに気付けないままになってしまいます。
犬がカーミングシグナルで伝えている気持ちに気づかないままほかの犬に近づけたり、人に触られたりすれば、恐怖心や怒りなどからトラブルを招くことにもなりかねません。
そこで、犬がよく行うカーミングシグナルをいくつかご紹介します。
・あくびをする
たとえば、叱られたときやしつこく触られたときなどにあくびをしたら、「もうやめて」というサインです。
・視線をそらす
ストレスから逃れようとしているときや、相手に攻撃する気持ちがないことを伝えています。不安やストレス、怖いと感じたときなど、目を合わせないようにすることがあります。
・前脚をあげる
お手に似たしぐさで、自分の興奮抑えるときや、ほかの犬を落ち着かせるときに行います。
・鼻や口の周りをなめる
相手の緊張をほぐそうとしているときや、嬉しくて興奮しているときにも行います。
・体が固まる
嫌なものや怖いと感じるものを見たときなど、恐怖心から体が動かなくなることがあります。いわゆるフリーズ状態です。
まとめ
私たちが気づかないところで、犬はストレスを感じているかもしれません。
ストレスを取り除くことは犬の健康にも、今後の起こり得るトラブルを防ぐためにも、重要です。
犬が苦しまないよう、不幸なトラブルにつながらないよう、まず飼い主が犬のストレスサインをきちんと理解しておきましょう。
そして、それに気づいたらすぐ対応してあげることが必要です。